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今日も明日も日本のどこかでサドルにまたがる、慶應医学部2年生。U23ロードナショナルチーム。宜しくお願いします!

プロ初勝利

本当に長かった。ツール・ド・バニュワンギ・イジェンの第3ステージで勝ちました。

 

レースで勝つのは昨年のJBCF東日本ロードクラシックのE1以来で、プロに転向してからは初勝利です。

 

昨年の6月に全日本と名のつく大会で次々入賞して、ナショナルチームに呼んでもらったり、プロになる機会を頂けたり、めまぐるしく環境を変えていくなかで、自分なりに頑張ってきました。

 

でも、アマチュアとプロの壁、国内と世界の壁は想像以上に大きく、レースを走れば走るほど自信をなくす日々でした。特に今年は、良かれと思ってした事が空回りする日々で、何の為に自転車に乗ってるんだろうって思ったりもしました。今月初めのツール・ド・北海道の第3ステージではひょんなことで右膝の靭帯を痛めてしまい、もしかしたらこのレースも最後まで走れないかもしれない、という中での出走でした。

 

プロ転向してから、沢山のレースを走らせてもらいましたが、実を言うと僕で結果を狙う機会というのは、本当に少なかったんです。チームは今年僕よりも登れる先輩スプリンターが沢山いるので、それも仕方ないことです。

でも勿論、プロなので、結果のない選手、期待される仕事ができない選手に価値はありません。

唯一僕が個人で結果を狙えた全日本選手権で惨敗してからは、もし次、僕で結果を狙うレースが訪れたら、それは今年最後のチャンスになるかもしれないと思って、不安とプレッシャーと戦いながら練習してきました。

 

その成果を目に見えて実感していたわけはありません。膝も痛めていたし、このレースの第1,2ステージはいつも通り惨敗でしたから。実際、僕の身体が強くなった訳じゃありません。大半の細胞は1日じゃターンオーバーしませんしね。変わりうるのはホルモンバランスくらいなものでしょう。

 

しかし、昨日のレースは全てが僕が力を発揮するために運んでいました。チームはジェイソンの逃げ切り勝利か、僕のスプリントで狙うプランでスタートし、集団は統制が取れていたので、すぐに今日はスプリントになると予想できました。逃げが決まってからフィニッシュまでの80キロは気が気じゃありませんでした。チームメイトがろくなリザルトのない僕の為に仕事をしてくれ、正直なところ、「ああ今日勝てなかったら俺はパッとしないプロだった、で済まされるキャリアでプロを終えるんだろうな」と思いながら距離を消化しました。

 

そんな諸々の感情をペダルに込めて、これでもかと踏み潰して勝ちました。

 

誰もが強さを買われて飛び込んでくるプロの世界では、その中でも突出したところがないと、レースで勝つことはできません。登りも、タイムトライアルも、テクニックもぱっとしない自分ですが、昨日のような展開のスプリントは得意だと自分で分かっていました。同級の石上選手や今村選手、後輩の松田選手が挑んでいた世界選手権に比べればステータスの劣るレースであることに反論の余地はありませんが、それでも色んなプレッシャーを跳ね除けて勝つことは、美しくて気持ちが良いです。

ゴールラインを先頭で抜けた時は、嬉しいより何より、ホッとした気持ちのほうが大きくて、便宜上片手を上げたくらいのしょぼいガッツポーズになってしまいました。

 

でも、右腕の力み具合と、表情を見てもらえば、このだらだらと長ったらしい文章よりも明確に心境を伝えられると思います。自分の勝利をこんなに高揚するのも恐れ多いですが、スポーツの美しさっていうのはこういうところにあると思います。

 

僕の美談を少しでも多くの人に共有できたらと思って、熱さが冷めないうちに徒然に文章に書き起こしてみました。勿論、これからもっと仕事をして、もっと勝ちたいと思っています。愛三工業レーシングチームを今後も応援してくださったら幸いです。

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