カケの医学への道 vol.3
最近忙しいです。カケです。
僕達のカリキュラムだと、2年生はこなすべき大きなイベントが今年度3つあり、
①夏の陣(夏季定期試験)
②冬の陣(冬季定期試験)
③解剖
なのですが、12月を持って晴れてすべて終了したので、春休みまでは
ひまー!
だと思っていたのです。しかし実際、医化学実習のレポートや、病理学のスケッチ課題、小テストなどに自由時間を蝕まれ
(;_;)
こんな顔をしております。
話が逸れました。「クールダウンの生理学」3回目です。
今回説明するクールダウンの役割は、
「乳酸除去の促進」
です。まったく医学用語ってのは、どうして気難しい漢字か、長ったらしい英語しかないのでしょう。今回もできるだけわかりやすく説明したいと思います。。
じつはこの役割は、次の回でご説明する「運動後超過代謝の促進」と切っても切れない関係にあります。というのは、どちらも
「ブドウ糖を分解してエネルギーを得る」
という運動の大原則が根底にあるからです。
僕たちが運動するとき、エネルギー源としているのはATP(アデノシン3リン酸)という物質です。ATPは、ブドウ糖を分解するとできます。ここまでは、このブログを開いてくださるくらいスポーツに興味のある方なら知っている方も多いと思います。
ブドウ糖からATPを得る反応は、気が遠くなるくらいめんどくさくて長いです。でも、順を追ってみていくと、その反応は大きく分けて3つに分けられます。
①解糖系
②クエン酸回路
③電子伝達系
この順に反応が起こっていくわけですが、ここで大事なのは、
・解糖系はグルコースをピルビン酸にするときにちょっとだけATPができる。この時酸素は使わない。ちなみに、この反応はめっちゃ速い。
ということと、
・電子伝達系では酸素を使って大量のATPをつくる。でも、反応はゆっくり起こる。
ということです。
これが運動とどう関係があるかというと、
強度の高い運動をするときには、電子伝達系ではATPをまかないきれないので、解糖系をガンガン回して大量のATPをまかなう
というのが重要になります。僕達がトレーニングするときには、解糖系がガンガン回った状態を自分で作り出しているわけです。
ということで、解糖系についてもうちょっと説明しますね。
解糖系は、いわば身体にとっての緊急事態です。すぐにATPが必要なので、そのためにめっちゃブドウ糖沢山要るやんとか、一緒にできちゃったピルビン酸どないすんねんとか、そんなことを考えている暇はありません。なりふり構ってられないのです。
結果として、解糖系ばかりが回ると、先程説明した、ATPと一緒にできるピルビン酸が溜まります。ピルビン酸は、解糖系の次に出てくるクエン酸回路で活躍して、電子伝達系で沢山ATPを作るときには必要なのですが、短時間で大量にATPを作るときには、ただただ余っていってしまいます。
この溜まった乳酸は、みなさんがよく知る乳酸に変換されて筋肉に溜まっていきます。
乳酸はどうして疲労物質と言われるか(最近では、乳酸は疲労物質の実体ではなく、疲労の結果だという解釈が有力ですが、ここでは詳しい説明は割愛します)というと、乳酸は筋肉を構成する細胞を酸性にして、筋肉の収縮が正常に起こらないようにしてしまうからです。
トレーニングをすると疲れるのは、筋肉のなかに乳酸が残っており、筋肉が収縮しづらい状態になっているからです。
で、乳酸はどうやって筋肉から取り除くかというと、
①ブドウ糖に戻す
②酸化して二酸化炭素と水にする
という2つの方法があります。詳しい人だと、LT(Lactate Threshold, 乳酸閾値)という言葉を聞いたことがあるかもしれませんが、この値は、運動して乳酸が溜まっていくスピードと、乳酸を身体が処理するスピードが釣り合っており、ギリギリ体内に乳酸が溜まっていかない強度のことを言います。余談ですね。
話を戻すと、強度の低い運動をするときに使う遅筋繊維は、乳酸を二酸化炭素と水に分解する反応を促進するという効果があります。
要するに、クールダウンで強度の低い運動をすると、遅筋をつかうので、筋肉に溜まった乳酸を分解できる
ということになります。
みち草を最小限に抑えて主要な流れだけをご説明しました。いかがだったでしょうか。
次回は一番ややこしいテーマ、「運動後超過代謝の促進」についてお話ししたいと思います。
そろそろ、病理学小テストの勉強を始めようと思います。それでは!