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今日も明日も日本のどこかでサドルにまたがる、慶應医学部2年生。U23ロードナショナルチーム。宜しくお願いします!

地域密着型プロスポーツチームの作り方を聞いてきました!

大学の授業も軌道に乗り始め、忙しくてブログの更新はおろか、本職の練習までなかなかできない日が続きました(シーズン大丈夫なのか、これ!)

 

解剖実習終わった帰り際、学部の友達に「ブログ読んでるよ!」と言われ元気付けられ、チャレンジロードの行きの車内でブログを書いている次第です。

 

さて、4/6の木曜日、川口メディアセブンで行われたあの栗村修さんの講演『地域密着型プロスポーツチームの作り方』を聞きにいってきました。

栗村修さんは今ではツアーオブジャパンの大会ディレクター、日本自転車普及協会の主幹調査役、またかつてよりjsportsの自転車ロードレース解説として活躍なさっている方ですが、もとは宇都宮ブリッツェンの監督を務められており、現在の地域密着型プロ自転車チームのブームの火付け役でいらっしゃいます。

 

東京ヴェントスは、正確には地域発信型プロスポーツチームですが、栗村さんの経験談は非常に参考になるだろうということで、自分の意思で参加することにしました。

 

講演では、宇都宮ブリッツェンの発足当時の実際の選手の給与の明細、予算組みのモデル、スポンサー集めのコツなど、かなり踏み込んだ話を聞くことができ、東京ヴェントスのこれからの活動にフィードバックできそうで大変役に立ちました。その中で今日は特に僕が気になった話をお伝えします。

 

宇都宮ブリッツェンの若手選手の給与。聞いたんですけど、僕の高校生時代のお小遣いと同額だったんです(我が家は一般家庭ですのでそれを元にお好きに推定なさってください)。もちろんチームの中には、バイトをしないでも自転車で生活していけるお金をもらっている選手もいたそうですが、ほとんどの選手は、バイトもしないと生活していけない額しかもらっていませんでした。

そして栗村さんは続けました。「たとえ、今の宇都宮ブリッツェンのように資金源豊かなチームで若手選手を雇うとしても、自分は彼らの給与は従来のままで良いと思う」と。十分な給与を支払うお金があっても、あえてあげない。なぜか。栗村さんはこのように説明なさっていました。

 

「若いうちから自転車に乗るだけでお金がもらえて、外に出ない生活(社会という意味です)をしていると、人間として必要な社会性が失われてしまう。これはエース級にも言えることで、社会に出ないうちに、自分がどういう人たちの支えがあって、自転車だけで生活できているのかということを忘れてしまう。そのうちにチームに対して不満を連ねるようになり、ろくな人間にならなくなってしまう。

また、自転車だけで生活しているエース級選手に、バイトで疲れている中、練習で食い下がるくらいの根性、実力がある選手でないと、将来的にエース級に成長していくことはできない。」

 

これは、まだ大学生という身分である私には衝撃的でした。確かに、学生ではなくなり自転車だけで生活していこうとする選手にとっては、自転車でが生活の全てであり、給与が自転車で間に合ってしまうと、本格的に自転車以外のコミュニティを失ってしまいます。人間的に卑屈に、独善的になってしまうのは、予想に難い話ではありません。

だからこそ、エース級の選手にも、チームで行うイベントには必ず出てもらうんだそうです。自分が何のおかげで自転車に乗れているのか、それをまず第一に念頭に置いてもらう。それはその時だけでなく、いつでも頭の片隅に置かせる。これだけで、選手として必要な人間性は最低限確保できる。

また、どんなに悪いコンディションでも、もとから自分より強いエース級の選手に勝つように練習をすることで、若い選手がどんどん強くなる。逆に強くならなければ、その選手は自転車選手となるのに必要なタフネスを持ち合わせていなかったということ。もとから自分より強い選手には負けて当然だし、だからこそ一回でも、まぐれでも喰い下がれれば、それが自信につながる。

 

そして、興味深いのは、栗村さんご自身も、自転車をプロとしてやるにあたり、副業をしていて練習時間が足りなくなるとは考えていらっしゃらなかった点です。プロ選手でも1日の練習時間は平均すると4〜5時間。残りの20時間の全部が全部回復に必要か?そんなことはない。

考えてみれば当たり前の話ですが、学業、バイトと自転車を両立している私にはこの言葉は大変励みになりました。

 

現状選手全員が給与をもらっていない東京ヴェントスですが、それを強豪チームに食い下がれない要因にしてはいけないと再確認し、機材や遠征費の補助をうけて走らせて頂いているありがたみと責任感をつねに胸に秘めつつ、レースを走らないといけないと感じました。

 

とまあ、良い感じの締めくくりになったところで、そろそろ修善寺に着くので、終わろうと思います。この講演についてはまだまだ参考になったところや深く考えさせられたところがあるので、おってご紹介していこうと思います。

 

チャレンジロードU23、黒にオレンジラインの中央線ジャージが目印です。応援よろしくお願いします!